2022年08月31日

今年も台風シーズンがやってきます

暑かった今年の夏も、秋の気配が近づいてきました
今年も、台風シーズンの到来です!

なんで、日本では秋になると台風が多くなるのでしょう(沖縄以外では)?
まず、台風の発生するメカニズムです

台風は、海水温の高い、赤道付近で多く発生します。
赤道付近で、海水から蒸発する水蒸気が上昇気流を伴って上空に達すると、低くなった気温の為、水滴になり、これが雲になります。
海水温が常に高い赤道付近では、次々に雲が発生して重なり合い、この大きな雲の塊が台風になります。

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(ちなみに、台風の渦が左巻なのは、地球の自転によるコリオリの力が作用するためです)

次は、なんで秋に日本に接近する台風が多いのか?です。

台風自体は自分では大きく移動することは出来ません。コリオリの力によってゆっくりと北西方向に移動する程度です。
この台風の進路を決めるのが、風の流れです。

北半球の赤道の少し北側の上空には、「偏東風」という強い東風が吹いています。
赤道付近で発生した台風は、まずこの「偏東風」に乗って、西から北西方向に移動をし始めます。

徐々に緯度が上がるに従って、今度は日本の北側を流れる「偏西風」の影響を受けて、台風も北よりから、東よりに方向を変えていきます。
ところが、夏の間は、大きな「太平洋高気圧」が日本をすっぽり覆っており、これが壁になって、台風は日本に近づくことができません。
そこで、台風はこの壁の縁を廻る様に、沖縄方面から、中国大陸方面に抜けていきます。

しかし、秋になって、太平洋高気圧の勢力が弱まると、日本の上空から高気圧の壁がなくなるため、「偏西風」に乗った台風が、日本に近づくことができる様になるのです。
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ここ近年は、日本に近づく台風の勢力が強く、大型化しているようです。
現在、沖縄に接近している台風11号も、920hPa・最大瞬間風速70m/sと、近年まれに見る強力な台風です。
70m/sの風は、車を横転させ、街路樹や信号柱が折れる程のエネルギーを持っています。

今回の台風でも、大きな被害が出ないことを祈っています。


記事投稿:池田

posted by towa at 15:16| 気象 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年06月07日

梅雨入り

関東地方では、6月6日梅雨入りが発表されましたが、今年は九州や四国・中国より早い梅雨入りとなっています。
関東の梅雨入りの時期としては、ほぼ平年並みですが、これから7月中旬まで、東京ではしばらく雨の時期が続きます。

梅雨が起きるメカニズムとしては、北半球が暖かくなってくると、今まで優勢だった大陸の乾いた冷たい空気が北に後退するにしたがって、太平洋上にあった暖かく湿った空気が日本上空に張り出して来て、冷たい空気と暖かい空気の境目に「前線(停滞前線)」が発生し、雨雲ができるために起こります(「前線」については、以前このBlogでも紹介しました LINK


さて、日本で毎年のように起こる「梅雨」ですが、季節が反対の南半球にはあるのでしょうか?

ひと昔前までは、「梅雨」は東アジア(日本周辺)独特の気象現象で、南半球には無いといわれていましたが、日本で体験する様な明確な「梅雨」と呼べるものは無い物の、同じようなメカニズムで発生する「雨の比較的多い時期」は存在する様です。
しかし、降雨の量が年毎に違っていたりと、季節に伴い移動する様な所謂「梅雨」とは、若干様子が違っているようです。

梅雨後半になってくると、西日本を中心にした豪雨被害が心配になります。
地球温暖化の影響か、このところ毎年の様に大きな被害が報告される様になっており、心配です。

とはいえ自然現象の事、人知の及ぶ範囲は限界がありますが、普段から気象の変化に気を配ることで、災害を最小限にとどめられる可能性もあるかと思います。

今年は大きな被害が無いことを、願うばかりです。


記事投稿:池田

posted by towa at 15:49| 気象 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月27日

二十四節気

12月22日は「冬至」でしたが、冬至は「二十四節気」の1つです。

二十四節気とは、古代中国で作られたとされる暦で、季節の移り変わりを表す指標として、農業で重宝されてきました。
農業国でもある日本でも、使われるようになり、今でも天気予報などで耳にすることがあると思います。

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冬至や夏至、春分や秋分は解り易いのですが、立秋(8月8日頃)や、立春(2月4日頃)等、実施の季節感から1ヶ月ぐらいズレた感じがするものもあります。これは、中国での気候に時間的なずれがあるためと言われています。

二十四節気の他の季節を表す言葉として「雑節」というものもあります。

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こちらの方が、より身近に感じるかもしれません。

あ! でも本来の意味を知らなかった言葉もありますね~ 「土用」なんてウナギを食べる日かと思ってた・・・
(ちなみに、「土用丑の日にうなぎを食べる」は、かの 平賀源内が夏の間にうなぎ消費を促すために作ったコピーという説もあります。本当かどうかは分からないみたいですが…)

いずれにせよ、四季の変化に敏感で、生活の中に取り入れてきた日本人だからこそ、今まで引き継がれ続けた「言葉」なのかもしれません。


記事投稿:池田

posted by towa at 14:50| 気象 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月24日

前線と大雨

今年の夏は、いつもより前線の活動が活発で、大雨が降るケースが多いように思います。
これも温暖化の影響なのでしょうか?
また、大雨で被災された方、お見舞い申し上げます。

さて、「前線の活動が活発になっていて」という言葉を報道でよく聞きますが、そもそも前線とはどういうものなのでしょうか?
前線とは、一言で言ってしまえば、「暖かい空気」「冷たい空気」の境目です。

北半球では、北極に近い北に冷たい空気の塊が、赤道に近い南側に暖かい湿った空気の塊があり、ちょうど日本のある温帯域でぶつかっています。その境目を前線と呼んでいるのです。

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前線は反時計回りに移動しています(北半球では)また、暖かい空気と冷たい空気どちらが優勢かということにより、前線の種類が決められています。

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温暖前線:
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暖かい空気が優勢で、冷たい空気を「押す」様に移動しています。
温暖前線が近づくと、気温・湿度が高くなり、気圧は下がります。降水の範囲は前線から300km程度で、前線に伴う雨は、通常、絶え間なく降水の強さもあまり変化しない事が多いとされます(しとしと雨)

寒冷前線:
寒冷前線.JPG
冷たい空気が優勢で、温かい空気の下に潜り込むように移動しています。
寒冷前線が近づくと気圧は下がり始め、気温と湿度は前線の通過後に急激に下がります。
降水の範囲は数10~100km程度と温暖前線に比べ狭いですが、前線に伴う雨は、雷や雹・突風などを伴い、急激にひどくなる事もあり注意が必要です。

停滞前線:
停滞前線.JPG
暖かい空気と冷たい空気の勢力が拮抗している場所に発生します。
前線の動きが遅く、長時間雨が続き災害の引き金になる場合があります。梅雨や秋の長雨に時期によく見られますが、季節を問わず現れます。
直近の豪雨災害(台風除く)では、この前線が影響したケースが見られます。

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その他に、寒冷前線が温暖前線に追いついて発生する、閉塞前線 等があります。

上記の様に、前線の種類によって、雨の降り方に特徴があります。天気図や天気予報で、どのような前線が近づいているのかを知ることによって、降雨災害を予測して準備をすることが可能になるのではないでしょうか?

皆さんも、天気予報を見る際に、参考にしてみてください。


記事投稿:池田

ラベル:前線 大雨
posted by towa at 14:40| 気象 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月13日

東京で雪が降るのは春先

今年は、日本海側で大雪になるケースが頻繁に起こっています(降雪被害に合われた方には、ご苦労様です)が、東京は連日晴天続きで、雪が余り降りません。

東京での降雪が報道されるのは、3月から4月初めになってからが多くなっています。

なぜ東京では、春先の降雪が多いのでしょうか?

雪が降るか降らないかは、その時の気温や、大気の湿度などの条件が揃う必要がありますが、低気圧の進路を見ることでも、大まかな予測が可能です。

寒さのピークの1月~2月にかけては、日本海上にある低気圧が、日本の東海上に出て、発達します。

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このような場合は、日本海側での降雪となり、東京などの太平洋側では、雪や雨は降りません。

しかし、春が近づいてくる3月~4月初めに掛けては、低気圧が日本の南海上を通過するようになります(南岸低気圧とも言います)

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この時期の低気圧が、八丈島付近を通過するとき、東京でも積雪となるような雪が降る場合があります。

もっと暖かくなると、雨になってしまいますが、まだ上空は冬の気温ですので、雪になるのです。

東京ではほんの少しの積雪でも、交通に障害が出るなど大騒ぎになりますが、天気図を観察することで、雪に対して事前に準備することができる様になるのではないでしょうか。



記事投稿:池田

posted by towa at 14:10| 気象 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする