2021年04月15日

SDGsとROHS規制

以前の記事でまとめているのですが、ROHS指令とは環境と人体の安全に関わる有害物質の規制です。電子部品に関わる仕事をしていると避けて通れないもので、ほぼ全ての電子部品に適用され市場では国際的な動きとなっています。

ではSDGs(エスディージーズ)という言葉を聞いたり、カラフルなバッジを付けた方を見かけたりすることはありませんか?
SDGsとはSustainable Development Goals の略で、日本語では持続可能な開発目標と訳されます。2015年に国連で可決された、2030年を期限としてよりよい世界を目指す国際目標です。17の大きな目標で構成されています。

SDGsの17目標リスト
1. 貧困をなくす
2. 飢餓をゼロに
3. すべての人に健康と福祉を
4. 質の高い教育をみんなに
5. ジェンダー平等を実現しよう
6. 安全な水とトイレを世界中に
7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
10. 人や国の不平等をなくそう
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう
15. 陸の豊かさも守ろう
16. 平和と公正をすべての人に
17. パートナーシップで目標を達成しよう

この17の大きな目標ごとに計167のターゲットがあり、2030年までに人間がする事をリストアップしています。
この中に貧困への対策や不平等の解消のような社会的問題とあわせ、気候変動や環境、有害物質の影響による健康被害に関する目標も含まれています。

そのため、環境保全に関連してSDGsに取り組む企業も増えてきています。
有害物質を規制するRoHSへの適合は、同時にSDGsの取り組みにもつながります。
RoHSは2003年の告示以降、規制物質や対象機器を増やしながら現在も継続しています。

証明書の取得が大変な時もあるROHSですが、環境や健康にとってとても大切なものなのですね。


投稿:渡辺




posted by towa at 09:00| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月08日

LEDはなぜ光るのか


以前ののブログで、LEDの種類ダイオードについての記事がありました。

記事にあるように、LEDにはいろいろな種類がありますが、そもそもなぜ光るのでしょう?

まずは、LEDの回路記号を見てみましょう。

LED3.JPG

図のように、ダイオードの回路記号から光が出ている様に書かれています。

LEDを日本語で言うと「発光ダイオード」です。LEDの構造は一般的なダイオードと基本的には同じです(機械的な構造や半導体材料は違いますが…)

LED(ダイオード)はp型半導体n型半導体がくっついた(接合)構造をしており、LEDの半導体には化合物半導体材料が使われます。たとえばGaAs半導体(ガリウムひ素化合物)の場合、価電子3個のGaが比率として多ければ、本来電子があるところに電子が存在しない「穴」の様な状態になる部分ができます。
この電子不在の「穴」を「正孔」と呼び、電気的には相対的に「プラス」と考えることができます。(p型半導体)

また、価電子5個のAsの比率が多ければ、電子が1つ余った状態(自由電子)となり、電気的には相対的に「マイナス」と考えられます。(n型半導体)

このp型半導体と、n型半導体を接合(pn接合)させ、ある程度の電圧を持った電流を流すと接合部分で「正孔」「電子」が移動して、電気的な中和状態となり、それぞれが消滅します。

電子はもともとマイナスの電荷(エネルギー)を持っていますが、この消滅により、電荷を持たなくなり、余った電子のエネルギーが「光」となって放出されるのです。

LED.gif

ここで、疑問に思われませんか?

LEDも一般的なダイオードも同じpn接合構造を持っているのに、なぜLEDは光り、一般的なダイオードは光らないのでしょうか
厳密に言うと、一般的なダイオードも「光って」いるのです。

ちなみに、光は「電磁波」で、特定の波長となった場合に、「光」として認識され、一般的に電磁波は波長が短い程、エネルギーが高いとされます。

一般的なダイオードはSi(シリコン)やGe(ゲルマニウム)を材料として使用しています。これが、低電圧で動作することに対して、LEDに使われる半導体(GaAs等)を動作させるには、高い電圧が要求されます。

低電圧で作動するということはpn接合面で発生するエネルギーも小さく、長い波長の電磁波が放出されます。つまり光(可視光)の波長のエネルギーには足りないのです。
放出された長い波長の電磁波は、半導体を覆っているモールド樹脂やガラスに吸収され熱となってしまいます。

LEDは「光」の波長を出せる程の電圧(エネルギー)を必要とし、また供給されているので、光ることができるのです。




弊社では Everlight, LENOO, KingBlight 等、各社LEDを取り扱っています。
砲弾タイプ・面実装タイプ・セグメントタイプ各種ラインアップも豊富ですので、用途に合わせお問い合わせください。




記事投稿:池田

posted by towa at 16:48| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ダイオードとは

ダイオードは、半導体の代表的な部品で、電気の流れを一方通行にする電子部品です。トランジスタやICなどと同じ「能動部品」と呼ばれます。
(コンデンサや抵抗は受動部品→コンデンサ抵抗器

まず、半導体とは金属と絶縁体の中間の性質を持つ物を指します。この中の不純物半導体と呼ばれるものが電子部品として使われます。
さらに不純物半導体には材質の違いによりP型とN型があり、このP型とN型をとなり合わせにしたものが電子部品の基礎となります。(PN接合)
このPN接合には一定方向に電流を流す作用などがあり、これを利用しているのがダイオードです(ややこしい!)

ダイオードの主な働きは次のようになります。
・整流(電気の流れを整える)→順方向に電流を流す(交流から直流に変換する、逆流を防ぐ)
・定電圧化(電圧を一定にする)→逆方向に一定値を超えた電圧を流す作用(降伏電圧)を利用する、過電圧から保護する
・検波(無線信号から音声を取り出す)

半導体や構造の違いによって、表のようにいろいろな用途のダイオードが作られています。
ダイオード.JPG


以前ご紹介したLEDはダイオードの中で電気エネルギーが光となって放出される現象を利用しています(発光ダイオード

LEDの発光の仕組み
LED.JPG
※クリックで拡大します

弊社でも色々なメーカーのダイオードを取り扱っていますので、お気軽にお問い合わせください。


投稿:渡辺
posted by towa at 16:42| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月02日

スーパーカミオカンデとニュートリノ

皆さん「スーパーカミオカンデ」という装置をご存じでしょうか?

この装置は、岐阜県飛騨市神岡鉱山跡の地下に存在する、「ニュートリノ」という素粒子を検出する装置です。
この装置を使った研究で、小柴昌俊先生と梶田隆章先生がノーベル物理学賞を受賞したことでも有名な装置ですので、ご存じの方もいらっしゃるでしょう。

そもそも「ニュートリノ」とはどんなモノなのでしょうか?

ニュートリノ電子と同じ原子を構成する素粒子の1つです、陽子が崩壊(β崩壊)する際に放出される放射線のエネルギー量が、陽子の持っているエネルギー量と一致しないため、かなり昔からその存在は予想されていましたが、ニュートリノ自体が電荷を持たない(電子はマイナスの電荷を持っています)事や、質量を持たないと考えられていたことから、実際に観測することが難しい素粒子でした。

その後の実験で、ニュートリノの存在は確認されましたが、質量については分からないままでした。
また、ニュートリノは宇宙の中に大量に存在しており宇宙開闢(ビック・バン)と同時に発生して、今も恒星の大爆発(超新星爆発)や恒星の活動の際に大量に放出されています。

そこで、ニュートリノをもっと調べるために作られたのがスーパーカミオカンデの前身である「カミオカンデ」です。(本来は、素粒子の安定性を確認するために作られました)
スーパーカミオカンデは、カミオカンデを大型化、さらに精密な観測をするために作られた装置です。
その構造は、巨大な円筒形をしたプールを純水で満たし、そのプールの廻りに光を観測する光センサー(光電子増倍管という)を隙間なく埋め込んだ構造をしています。

光は(真空中で)一番早いモノですが、空気中や水などの障害物中では、その速度が落ちます。そこに光に近い速度を持ったニュートリノが通過すると、発光するという「チェレンコフ効果」を光センサーで感知して、観測するのです。

スーパーカミオカンデの稼働により、ニュートリノが質量を持った素粒子であること(質量の大きさはまだ判らない)、質量を持った物質を通過すると質量の大きさによってその性質が変化すること、また、世界で初めて超新星爆発で発生したニュートリノを観測したことなど、宇宙の構造や素粒子物理の分野で、大きな成果を上げていて、宇宙の構造を知る大きな手掛かりになると考えられています。

目に見えないモノに興味・疑問を持ち、それを解決していく人間の探求心は、いったいどこまで進んでいくのでしょうか?
我々の住んでいるこの宇宙全体の仕組みが、解明されるのも遠い未来の話ではないのかも!


記事投稿:池田
posted by towa at 15:21| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月01日

飛行機に乗ると長生きできる?

飛行時に乗ると長生きできる

そんな訳あるはずない!と思いますよね?普通
そう、ある訳ないですが、見方を変えると一概にそうとも言い切れないとも思える現象があるのです。

時間と速度の関係を表した理論に、アルバート・アインシュタインの提唱した「特殊相対性理論」があります。この理論は、様々な実験結果から正しい事が確認されている理論です。

この理論によると、高速で移動(飛行機も高速で移動しています)している人(実際は人だけではないのですが、とりあえず)は、地上にいる人から見ると時間が僅かに遅れているそうです。

つまり、飛行機にずっと乗っていれば、寿命が延びるわけですよね?

寿命が延びるわけありません!
飛行機に乗っていようが、普通に年を取りますから…

この理論は「特殊“相対”性理論」です。

“相対”ということは、「必ず相手があって、それとの関係性」ということです。

つまり、「高速移動している人を地上から見れば時間が遅れて見えるが、実際に移動している人の時間が延びる訳ではない」ということです。

「猿の惑星」っていう古い映画があります、この映画はまさにこの理論を使った設定になっていて、超高速で宇宙航行をしていた主人公が、たどり着いたのは、猿の支配する未来の地球だった、という話です。

アルバート・アインシュタインはその後「一般相対性理論」を発表します。
これは「特殊相対性理論」の発展理論で、速度と時間だけでなく重力も含めた関係性を説いています。

実際、地上より重力の影響の少ない衛星軌道上では、地上からは時間が進んで観測されるのです。
地球軌道上にあるGPS衛星は、衛星の移動速度と重力の影響で起こる時間の遅れと進みを補正して地上に時間を発信しています。

また、アインシュタインの提唱した理論では「光より早く進むモノはない」とされています。
物質の速度が光速に近づくに従って、時間の経過は遅くなり、また質量が無ければ時間の概念自体もなくなります。
つまり、「光は時間の経過も、質量もない」ということになります。

最初の話に戻ります。

「飛行時に乗ると長生きできる」訳ではありませんが、地上にいた場合と比較すると、ほんの僅かですが「未来」に行けるのです。これは「タイムマシン」(未来方向一方通行の)ともいえるのでは?


記事投稿:池田

posted by towa at 15:38| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする