2023年08月30日

ダイオードの種類と用途について

電子デバイスの一番基礎となるダイオード
各ダイオードの特徴を簡単にまとめてみました

① 整流用シリコンダイオード

・耐圧が高い。
 →高耐圧なので、高圧AC電源の整流などに対応可能

・逆電流IRが小さい。
 →逆電流に敏感な回路の保護など

・順方向電圧VFが大きい。
 →低電圧駆動を必要とする回路には使えない
 →大電流がでは、損失が大きくなる。

・逆回復時間trrが長い(数10μs~100μs程度)。
 →高速のスイッチングには不向き

② スイッチングダイオード

・逆回復時間trrが短い。
 →高速スイッチング回路に対応

・逆電流IRが小さい。
 →高い逆電流が流れる回路に使えない

・順方向電圧VFが大きい。
 →汎用整流ダイオードと同等で、低電圧駆動には不向き

③ ファストリカバリダイオード

・逆回復時間trrが非常に短い。
 →高速スイッチング回路に対応

・逆電流IRが小さい。
 →高い逆電流が流れる回路に使えない

・順方向電圧VFが大きい。
 →汎用整流ダイオードと同等で、低電圧駆動には不向き

・高電圧にも対応
 →500V以上の高圧に対応する製品もある

④ ショットキーバリアダイオード

・順方向電圧VFが小さい
 →低電圧駆動が可能(0.2V程度から)

・逆回復時間trrが非常に短い。
 →高速スイッチング回路に対応

・耐電圧が低い
 →高圧回路には使えない

・逆電流(漏れ電流)IRが大きい
・他のダイオードよりも一般的に高価

③ツェナーダイオード

・逆電圧VRを印加し、徐々に上げていくと、ある電圧で急激に逆電流IRが流れるダイオードで、定電圧を取り出すために、使用される

*弊社では、TOSHIBA製品をはじめ、各ダイオードメーカーの製品紹介が可能です。
メーカー問わず、お問い合わせをお待ちしています。


記事投稿:池田

posted by towa at 14:04| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月10日

三角関数②(グラフを描いてみましょう)

三角関数のグラフを描いてみましょう。sinθ(θ=0→4π)cosθ(θ=0→4π)のグラフは下記のようになります。

三角グラフ1.png
                                    Fig1

三角関数は、この様なグラフとなることから、電波交流信号など、波状の物理現象を表せる関数となります。
三角関数同士を計算することによって、複雑な形状をした波を分析して、関数として導くことが可能です。

ここで、三角関数同士を計算して得られる波の例を挙げてみます。
3通りの三角関数を足した 3sinθ+cos3θ+1/3sin3θ のグラフを描いてみると

三角グラフ2.png
                                                                                                Fig2

一見複雑な波形も、三角関数で解析・表現することができることが判ります。

*グラフはExcelで簡単に書けますので、式を組み換えて試してみると面白ですよ!
三角グラフ3.PNG

この様に、どのような波形を持った関数(現象)も三角関数の組み合わせで解析できることを発見したのフーリエというフランスの数学者です。(Link:ウィキペディア)

この人の名前をとった「フーリエ級数展開」「フーリエ変換」といった手法は、波に及ばず、すべての物理現象の解析に役立つ重要な手法となっています。

実際のフーリエ変換はかなり難しいです(大学初年度程度の数学の知識が必要)が、興味があれば、挑戦するのも面白いかと思います。



記事投稿:池田
posted by towa at 13:51| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月28日

帆足・ミルマンの定理

前回は、電気回路を理解する上での法則の一つとして、キルヒホッフの法則を紹介しましたが、もう一つの重要な法則に、帆足・ミルマンの定理があります。

帆足・ミルマンの定理は、下記のような複数の電源と抵抗が、並列に接続された回路において、端子電圧を簡単に求めることができる定理です。
ミルマン1.PNGFig1

定理自体はオームの法則でも理解できますが、これを覚えておくと、回路の任意の場所の電流を求める テブナンの定理 なども理解しやすいでしょう。

端子電圧 Vは下記の式で表すことができます(ちなみにコンダクタンス Gは、抵抗 Rの逆数です)
ミルマン2.PNG
回路1~回路nのそれぞれの端子電圧を合計します
ミルマン3.PNG
これで、複数電源を持った回路の端子電圧(V)が求められます


<計算例>

下記のような回路において、R3の端子電圧 V を計算します
ミルマン4.PNG
各回路のコンダクタンスと電流を足して端子電圧 V を算出します
ミルマン5.PNG
電流に関しての定理である、テブナンの定理 も式の変形で同様に計算できますので、挑戦してみてはどうでしょうか?


記事等興:池田


posted by towa at 14:20| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月07日

キルヒホッフの法則

皆さんは、オームの法則はご存じだと思いますが、電気回路の理解においては、オームの法則の他に、いくつか重要な法則があります。
その法則の一つに「キルヒホッフの法則」があり、この法則は2種類の電源を持った回路の抵抗・電流・電圧の関係を計算する上で重要な法則です。

図1のように、ある1点Aに電流I1I2が流れ込んでいます。同時に点AからはI3が流れ出しています。

キルヒホッフ4..jpg図1

この時、電流の関係として I+I2=I3 の式が成り立ちます

キルヒホッフの第1法則=回路中の任意の電流の分岐点において、流れ込む電流の和と流れ出る電流の和は等しくなる。

図2のように、電源が2つある回路(閉回路)がある場合、電源電圧E1と電源電圧E2および、抵抗R1の両端電圧V1R2の両端電圧V2との関係として、E1-E2=V1+V2 の式が成り立ちます。

キルヒホッフ2.png図2

キルヒホッフの第2法則=回路中の任意の閉回路において、電源電圧と負荷で消費される電圧(電圧降下)の和は等しくなる。

さて、この2つの法則をもとに、図3のような回路の電圧・電流・抵抗の関係を見ていきましょう。

キルヒホッフ3.png図3

Aを通る電流は、キルヒホッフの第1法則よりI3=I1+I2 となります。
閉回路1では、オームの法則にと第2法則により… E1=I1R1+I3R3 が成り立ちます。
閉回路2では、同様に… E2=I2R2+I3R3 が成り立ちます。

つまり、図3の回路での電圧・電流・抵抗それぞれには、下記連立方程式が成り立つことがわかります。

 I3=I1+I2…①
 E1=I1R1+I3R3…②
 E2=I2R2+I3R3…③

通常、抵抗、電圧、電流のいずれかの値は判っているので、連立方程式解くことにより、求めたい値を計算することができます。

キルヒホッフの法則を使うことによって、より複雑な回路の解析も可能となるのです。

次回は、複数の電源と抵抗が、並列に接続された回路において、端子電圧を簡単に求めることができる帆足・ミルマンの法則について話したいと思います


記事投稿:池田

posted by towa at 16:01| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年05月23日

三角関数①(三平方の定理・弧度法)

高校数学は、中学までとは違い新しい関数の概念が数々登場します。
その中でも特に三角関数は、変数に角度が入ることで、今まで習った関数とは違い、戸惑った方も多かったのではないでしょうか?
(三角関数が解らず、数学が嫌いになったという方もいるのではないでしょうか…)

三角関数の考え方は、振動を表すことの出来る関数として、電気回路(特にアナログ回路)とは、切っても切り離せない重要な考え方になります。
三角関数の一番基本的な概念は、中学で習う「三平方の定理」です。

三角関数1.png

これを応用して、直角三角形の角の角度と辺の比を表した関数が、いわゆる三角関数となります。

三角関数2.png

これが三角関数の基本です。θの角度や、辺の長さを任意に決めれば、それぞれ特定の数字になることが判りますよね?


θの角度を「θ°」と、度で表す方法を「度数法」と呼びます。

実際の計算をする際に、「度数法」でも計算できるのですが、三角関数は「関数」ですので、角度や辺の長さを変数として計算するのが一般的です。「度数法」では計算式が煩雑になり、複雑な計算が難しくなってしまいます。

そこで、数学では、「弧度法」とい方法で表すのが、一般的になっています。

三角関数3.png

弧度法に依る角度の表し方を踏まえた上で、次回は「三角関数と振動(波)」について少し考えてみたいと思います。



記事投稿:池田

posted by towa at 15:30| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする