2021年11月09日

微分は難しくない?(またか!)②

さて、前回の続きになります

ググっと拡大した、y=x^2のグラフですが、直線に見えませんか?
グラフが直線(1次関数)で表せるなら、そのグラフの傾き(変化量)は一定です。
(y=2xの直線の傾きが2であることと同じです)

このように、曲線で表せる関数の傾き(変化量)を計算する方法が、ズバリ、「微分をする」という事なのです(少し乱暴ですけど…)
つまり「y=2xを微分すると2になります」 ということです。

1次関数の傾きというのは、xの変化量とyの変化量の比ですよね。

微分10.JPG

それでは、同じように、y=x^2で考えてみましょう!

y=x^2は2次関数ですので、傾きはxの値によって、変化します。そこで、xの値が1.0~1.1に変化した場合を想定してみます。

微分11.JPG

つまり、y=x^2 上の x=1.0 の点と x=1.1 の点の2点を通る直線の傾きは、2.1 だということになります。
それでは、さらにxの変化量を細かくして、1.0~1.01まで変化した場合はどうでしょうか?

微分12.JPG

ふむ、だんだん「2」に近づいてきましたね…

さらに進めて、xからhだけ変化した場合を考えてみます。

微分17.JPG

ここで、hを限りなく0にすると、h=0と考られるので、傾き=2xとなります。
「hを限りなく0にする」ことを記号で

微分14.JPG

と表すことにします。(lim は「リミット」とよみ、極限(limit)を表します)

さて、関数f(x)の変化量を0に近づけること(lim)によって、その関数f(x)の傾きの変化を知ることができました。(y=x^2の場合は2xですよね)
これを関数f(x)の導関数f‘(x)を求める、すなわち微分するということになる訳です。

さらに、微分記号d/dxを使ってあらわすと…

微分15.JPG

やっていることは同じ! 関数の傾きの変化を求めているだけです。
同じことをやっているのに、「導関数」だの「lim」だの「微分記号」だのと表現の仕方が違っているから解りにくい…

これで、少しは微分のイメージが掴めたでしょうか?
でも、これって何かの役に立つの? 

次回はこの微分を使って何ができるのかということについて少し書ければと思います。



記事投稿:池田

posted by towa at 15:39| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月21日

虚数って何ぞや?

数学に詳しい人からすると、噴飯ものかもしれませんが、私なりに思っている虚数について少し書いてみたいと思います。
虚数を英語表すと、 imaginary number と言い、2乗したときに0未満の実数になる数を指します。虚数の最少単位を、虚数単位としi」で表します。

虚数.JPG

また、虚数と実数の組み合わせを、複素数と言う名前で呼びます。

複素数.JPG

2乗したときに-1? マイナス同士、プラス同士どちらを2乗しても必ずプラスの数字になるのに何で実際に存在しない-1になるような数を考えたのでしょう?

それは、虚数の考え方を使うと実際の計算で便利だからなのです。

3次関数①.JPG
3次関数②.JPG
3次関数③.JPG

また、平面上の位置を数字で表すことを考えると、2次平面上では、座標(x,y)が座標に必要になりますが、虚数iを含んだ複素数を使うことに依って(複素数平面)

X_Y平面.JPG

複素数平面①.JPG

x(y)方向だけ記述すれば、座標を表せるようになります。

この複素数平面上の座標は、もう一つ特徴を持っていて、座標にiを掛けると、原点を中心に90°回転(左回転)した座標になるということです。

複素数平面2②.JPG

これで、回転する座標(極座標)を簡単に記述することができる様になりました。
このことにより、波や音・電磁波などの波動を持った物理現象も理解がし易くなったのです。
(ちなみに、電磁気学では、iは頻繁に使う数です・・・)

ところで…

ネイピア数eは、極座標上に螺旋を描きます。
円周率πは、もともと円ですから、これも極座標で表せます。
虚数も座標上を回転します(極座標で表せそうです)。
三角関数も極座標で表現できます。

うーん、何かできそうです!


記事投稿:池田

posted by towa at 16:20| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月14日

円周率(π)について

以前、このブログで、ネイピア数(e)について書いたと思います。
今回は、同じ無理数でも、もっと身近な円周率(π)について考えてみたいと思います。

円周率(π)とは、何か?  
誰でも知っている様に、πは円の直径と円周の長さの比率です。
π=3.1415926… 誰でも知ってます。(「大体3」と習った人がいるかもしれませんが)

永遠に続く無理数ですが、なぜπ=3.1415926…なのでしょうか?

πの算出には色々な方法が考えられていますが、今回は直観的に解りやすい「アルキメデスの方法」で考えてみたいと思います。

円の外周と内周に接する多角形を考えます。

pie1.JPG
多角形を6角形と考えると、円の内周に接する6角形の辺の合計の長さは

pie2-1.JPG

となり、πが3と3.4641の間のあることが解ります

さて、多角形の数をどんどん増やしていくと、どうなるでしょう?
96角形で考えると、3.140845<π<3.142857 となり、3.14まで算出できました。
n角形のnは無限に増やすことができます、従ってπも無限に続くわけです。

うーん… この解法では、なかなか3.14以降の桁に終息しませんね…
そこで、サクっと3.14…に終息するラマヌジャン式という式があります。

pie3.JPG

導出は難しいので、興味があったら調べてみてください。

さて、次回は虚数(i)について少し話そうと思います。
ここまでで、察しの良い方は何が言いたいのか解ったかもしれません…

そうです! あの有名な等式ですよ!



記事投稿:池田

posted by towa at 11:39| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月24日

トランジスタを使ったスイッチング回路

電気回路で、一番初めに目にする電子デバイスが、トランジスタやダイオードではないでしょうか?
トランジスタは、電流を増幅するデバイスですが、増幅以外にもスイッチとして使われるケースが多くあります。

トランジスタをスイッチとして使う場合の原理は、水の流れを使って考えると解りやすいと思います

ベース:Bに電流が流れていない場合は、コレクタ:C-エミッタ:E間の電流は流れず、C-E間は、スイッチが切れた状態になります。
ベース:Bに電流が流れると、C-E間の電流が流れ、スイッチが入った状態になります。

水流1.JPG水流2.JPG

今度は、LEDをトランジスタを使ったスイッチング回路で点滅させる回路を考えます。

① まず、電源:5VにLED(順方向電圧:Vf=1.9V 順方向電流;If=10mA)を直接つないだ回路を考えます。
この時に、LEDに10mAの電流が流れる様に、抵抗:Rを直列につなぎます。

Untitled.png

抵抗:Rの値は、オームの法則より、下記式で求められます。

抵抗計算1.JPG

これにより、Rは310Ω必要であることが解ります。

② 次に、LEDを点滅させるために、トランジスタを使ったスイッチング回路を追加します。

Untitled2.png

水の流れに例えたように、Bに電流が流れていなければ、C-E間に電流は流れず。LEDは点灯しません。
Bに電流が流れた場合、C-E間に電流が流れ、LEDが点灯します。

この場合、Bに印加される電流を調整してあげる必要があります。
このトランジスタの電流増幅率hfe=200とし、B-C間電流を10mAとすると、Bに流れる電流は10mA/200=0.05mAとなります。
電流に余裕を持たせるために、3倍の0.15mAをBの流せるよう、抵抗:Rbを下記の様に計算します。

抵抗計算2.JPG

これにより、Rb=約29KΩ必要なことが解ります。

トランジスタによるスイッチング回路は、小電力の場合には、汎用のトランジスタが使えるため、部品コストも安く、回路構成も簡単であるため、多くの回路に採用されています。

弊社では、TOSHIBA製品を扱っています、汎用トランジスタからFETとラインナップも豊富です。
海外製品につきましても、ご相談いただけますので、お問い合わせをお待ちしています。



記事投稿:池田

posted by towa at 09:48| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月14日

シュレディンガーの猫

「シュレディンガーの猫」って知っていますか?

「何事もふたを開けなければ判らない」といった慣用句として耳にした方もあるかもしれません。

「シュレディンガーの猫」の本来の意味は、波動関数を発見した理論物理学者「エルヴィン ・シュレディンガー」が考えた、量子(ミクロの世界)の挙動と現実(マクロ)の現象の間にあるパラドックスを表す思考実験の事です。

まず、素粒子等、量子的な粒子(粒子とする)が示す挙動は、

・観測される前の、粒子の位置は決まっていない
・粒子の位置は、観測されて初めて決定される。
・観測される前の粒子の位置は、可能性」として多重に存在している。

ということが、量子物理学の実験でわかってきました。

我々が見ている物質もすべて粒子の集まりです。上記の粒子の挙動が正しいなら現実は、どのような現象を示すのでしょうか?
それを、シュレディンガーは「シュレディンガーの猫」という思考実験で表しました。

その実験装置は下記の様な構造をしています。

① 外からは中が見えないようにしたブラックボックスを用意する
② ブラックボックスの中に、1時間に一回放射性崩壊をしてβ線(電子)を放出する放射性同位元素を入れる。(1時間の間にβ線を放出する可能性は50%)
③ β線を感知したら、青酸ガスを放出する装置を、同様にブラックボックス内に置く。
④ ブラックボックス内に生きた猫を入れる。

さて、1時間後にブラックボックスを開けるとどのような状態が観測されるでしょうか?

もし、放射性崩壊が発生していなかったら、猫は生きて観測されるはずです。

シュレディンガーの猫1.JPG

放射性崩壊が発生していたら、猫は青酸ガスによって中毒死しているはずです。

シュレディンガーの猫2.JPG

β線が発生する確率は50%です。
β線が存在する量子の世界では、先に示した通り『観測される前の粒子の位置は、「可能性」として多重に存在している』です

つまり、β線が放射されたかどうかは、観測(この場合ブラックボックスを開ける行為)されない限りβ線は確率的にしか存在せず、存在と非存在が重なった状態であると考えられます。

猫の生死を確定するβ線の存在・非存在が重なった状態であり、影響を受ける猫自身も量子で構成されているので、猫の状態もまた存在・非存在が重なった状態にあることになります。

シュレディンガーの猫3.JPG

シュレディンガーの猫は、ブラックボックスを開けるまで、存在・非存在が重なりあったもやもやとした存在で(表現が良くないですが・・・)ブラックボックスを開けた瞬間に生きているか死んでいるか、どちらかに収斂するというのです。

訳がわかりません・・・
ブラックボックスを開けようがどうしようが、猫の生死は決まっているに違いないのですから・・・

シュレディンガーがこの思考実験で何が言いたかったのかというと、「量子論は、完成された理論ではなく、新しい事実を確認して補強しなくてはいけない」と言いたかったのではないでしょうか?

「シュレディンガーの猫」については、様々な解釈がなされていますが、明確に説明した理論はまだ見つかっていません…


記事投稿:池田


posted by towa at 14:46| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする