2021年05月14日

シュレディンガーの猫

「シュレディンガーの猫」って知っていますか?

「何事もふたを開けなければ判らない」といった慣用句として耳にした方もあるかもしれません。

「シュレディンガーの猫」の本来の意味は、波動関数を発見した理論物理学者「エルヴィン ・シュレディンガー」が考えた、量子(ミクロの世界)の挙動と現実(マクロ)の現象の間にあるパラドックスを表す思考実験の事です。

まず、素粒子等、量子的な粒子(粒子とする)が示す挙動は、

・観測される前の、粒子の位置は決まっていない
・粒子の位置は、観測されて初めて決定される。
・観測される前の粒子の位置は、可能性」として多重に存在している。

ということが、量子物理学の実験でわかってきました。

我々が見ている物質もすべて粒子の集まりです。上記の粒子の挙動が正しいなら現実は、どのような現象を示すのでしょうか?
それを、シュレディンガーは「シュレディンガーの猫」という思考実験で表しました。

その実験装置は下記の様な構造をしています。

① 外からは中が見えないようにしたブラックボックスを用意する
② ブラックボックスの中に、1時間に一回放射性崩壊をしてβ線(電子)を放出する放射性同位元素を入れる。(1時間の間にβ線を放出する可能性は50%)
③ β線を感知したら、青酸ガスを放出する装置を、同様にブラックボックス内に置く。
④ ブラックボックス内に生きた猫を入れる。

さて、1時間後にブラックボックスを開けるとどのような状態が観測されるでしょうか?

もし、放射性崩壊が発生していなかったら、猫は生きて観測されるはずです。

シュレディンガーの猫1.JPG

放射性崩壊が発生していたら、猫は青酸ガスによって中毒死しているはずです。

シュレディンガーの猫2.JPG

β線が発生する確率は50%です。
β線が存在する量子の世界では、先に示した通り『観測される前の粒子の位置は、「可能性」として多重に存在している』です

つまり、β線が放射されたかどうかは、観測(この場合ブラックボックスを開ける行為)されない限りβ線は確率的にしか存在せず、存在と非存在が重なった状態であると考えられます。

猫の生死を確定するβ線の存在・非存在が重なった状態であり、影響を受ける猫自身も量子で構成されているので、猫の状態もまた存在・非存在が重なった状態にあることになります。

シュレディンガーの猫3.JPG

シュレディンガーの猫は、ブラックボックスを開けるまで、存在・非存在が重なりあったもやもやとした存在で(表現が良くないですが・・・)ブラックボックスを開けた瞬間に生きているか死んでいるか、どちらかに収斂するというのです。

訳がわかりません・・・
ブラックボックスを開けようがどうしようが、猫の生死は決まっているに違いないのですから・・・

シュレディンガーがこの思考実験で何が言いたかったのかというと、「量子論は、完成された理論ではなく、新しい事実を確認して補強しなくてはいけない」と言いたかったのではないでしょうか?

「シュレディンガーの猫」については、様々な解釈がなされていますが、明確に説明した理論はまだ見つかっていません…


記事投稿:池田


posted by towa at 14:46| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする