2021年04月02日

スーパーカミオカンデとニュートリノ

皆さん「スーパーカミオカンデ」という装置をご存じでしょうか?

この装置は、岐阜県飛騨市神岡鉱山跡の地下に存在する、「ニュートリノ」という素粒子を検出する装置です。
この装置を使った研究で、小柴昌俊先生と梶田隆章先生がノーベル物理学賞を受賞したことでも有名な装置ですので、ご存じの方もいらっしゃるでしょう。

そもそも「ニュートリノ」とはどんなモノなのでしょうか?

ニュートリノ電子と同じ原子を構成する素粒子の1つです、陽子が崩壊(β崩壊)する際に放出される放射線のエネルギー量が、陽子の持っているエネルギー量と一致しないため、かなり昔からその存在は予想されていましたが、ニュートリノ自体が電荷を持たない(電子はマイナスの電荷を持っています)事や、質量を持たないと考えられていたことから、実際に観測することが難しい素粒子でした。

その後の実験で、ニュートリノの存在は確認されましたが、質量については分からないままでした。
また、ニュートリノは宇宙の中に大量に存在しており宇宙開闢(ビック・バン)と同時に発生して、今も恒星の大爆発(超新星爆発)や恒星の活動の際に大量に放出されています。

そこで、ニュートリノをもっと調べるために作られたのがスーパーカミオカンデの前身である「カミオカンデ」です。(本来は、素粒子の安定性を確認するために作られました)
スーパーカミオカンデは、カミオカンデを大型化、さらに精密な観測をするために作られた装置です。
その構造は、巨大な円筒形をしたプールを純水で満たし、そのプールの廻りに光を観測する光センサー(光電子増倍管という)を隙間なく埋め込んだ構造をしています。

光は(真空中で)一番早いモノですが、空気中や水などの障害物中では、その速度が落ちます。そこに光に近い速度を持ったニュートリノが通過すると、発光するという「チェレンコフ効果」を光センサーで感知して、観測するのです。

スーパーカミオカンデの稼働により、ニュートリノが質量を持った素粒子であること(質量の大きさはまだ判らない)、質量を持った物質を通過すると質量の大きさによってその性質が変化すること、また、世界で初めて超新星爆発で発生したニュートリノを観測したことなど、宇宙の構造や素粒子物理の分野で、大きな成果を上げていて、宇宙の構造を知る大きな手掛かりになると考えられています。

目に見えないモノに興味・疑問を持ち、それを解決していく人間の探求心は、いったいどこまで進んでいくのでしょうか?
我々の住んでいるこの宇宙全体の仕組みが、解明されるのも遠い未来の話ではないのかも!


記事投稿:池田
posted by towa at 15:21| まめちしき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする