今まで微分について何度か話をしてきましたが、微分をする関数については、すべて変数が一つ(例えばx)だけの場合でした。
科学の世界で、微分を使う場面は多岐にわたりますが、必ずしも変数が1つだけとは限りません。(複数の変数を扱う場合が圧倒的に多いです…)
今回は、変数が複数ある関数を微分する「偏微分」の計算方法について簡単に話をしたいと思います。
偏微分とは? 多変数関数を「特定の文字以外定数とみなして」微分したもののことです。
例えば、f(x,y)= x ^2 +xy を例にすると、xを変数、yを定数として計算しますので、f(x,y)= x ^2 +xyという関数のxについての偏微分は 2x+yとなります。
これを、記号を使って表すと以下のようになります。(変数xの偏微分)
今度は、同じ関数を変数yについて偏微分してみます。その際はx^2を定数と考えて
さらに、xy両方とも偏微分する際は、xの偏微分の結果をさらにyで偏微分します。
xyの計算の順番を変えても同じく
となり多くの場合、結果は同じになります。
計算の仕方が判ったところで、実際の計算の例を挙げてみましょう。
皆さんが高校数学を学んだ上で、最初の頃に悩んだであろう「平方完成」の問題…
上記の式を「平方完成」させると
となりますが、これを偏微分を使って解くと、もっと簡単に解くことができます。
として、連立方程式を解くと、x=8, y=-5 が得られるので、元の式に代入することで、最小値 -35 が得られます。
この例自体は、単なる数遊びで「だから何なんだ!」と思われる向きもありますが、複数の変数を持つ現象に出会って、それを解析する際には、「偏微分」という方法を使うことによって、「変数要素それぞれの解析ができ、それを重ね合わせることで、全体の解析が可能になる」と言うことを知ってもらえれば、良いと思います。
記事投稿:池田