2021年04月22日

宇宙の果て…

「宇宙の果てはあるか」と言われると、「あるんじゃない?」と答えるしかないのですが…
例えば、海を眺めると水平線のとこまでしか見えず、その先にもずっと海が広がっているのに見ることは出来ません。

宇宙にも同じようなことが言えて、我々が解っているのは「観測できる範囲」の中で、一番遠いものを「観測可能な宇宙」として認識することしかできません。
で、「宇宙の果ては…あるんじゃない?」(あるはずだけど見えないので判らない)なわけです。

それでは、「観測可能な宇宙」はどのくらいの大きさなのでしょうか?
「138億光年」という文献や、「450億光年以上」といった記事もあり、どうもはっきりしません。

まず、真空中の光の速度は、約30万km/sで一定です。(光速度=とする)
例えば、光速で進む宇宙船(ありえないです)から光を発射しても、相対速度で2cになったり、逆に0cとなることはありません。(光速度不変)

「観測可能な宇宙」の大きさを「138億光年」としたのは、宇宙の始まりが138億光年(時間)前ということがほぼ確認されたので、宇宙の始まり以前の“時間”は観測不能という理由に於いて決められました。
実際に観測されているもっとも遠くにある天体は約134億光年ですが、これは、その天体が発する電磁波の波長などを計算して、その天体から発せられた光がどのくらいの“時間”をかけて地球に到達したか(T)を計算し、光速度(c)を掛けたTc(光年)を距離としてみなし、表されています。(光路距離)

それでは「450億光年」としているのはどういう理由でしょうか?
宇宙は膨張を続けています。光路距離で134億光年とされていても、134億光年の時間の間にも宇宙“空間”は膨張し続けていますので、今その天体があると考えられる“距離”(L)を光が1年間に進む“距離”(d)で割った、L/d(光年)とすると、450億光年分の“距離”があるとした考え方(固有距離・共動距離)です。
これは、前出の「光路距離」とは基準になる考え方が“時間”“距離”と、違っています。

どちらも「光年」を単位としているので、紛らわしく、「観測可能な宇宙」の大きさは138億光年と表現されたり、450億光年以上と表現されたりしているのです。

光年.JPG

ですから、現在「観測可能な宇宙の果て」と考えられるのは、「光路距離で138億光年」「固有距離で450億光年以上」と表現されるべきところ、「光年」だけで表現してしまうので、混乱が生じるのではないでしょうか?

138億光年450億光年以上と言っても「観測可能な宇宙」の大きさでしかありません。
宇宙は観測できない領域まで広がっているのかもしれません。しかし我々にはそれを観測する術を今現在持っていません。
ですから、「宇宙の果ては…あるんじゃない?」(あるはずだけど見えないので判らない)と言うしかないのです。

それでも私は「宇宙の果ての外はどうなっているの?」と、“見果てぬ夢”を見るのです。

記事投稿:池田

posted by towa at 13:26| 天体 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする